アプリケーション開発者を勤勉にさせないスタンダードについて考えることも時には必要。一方でスタンダード批判はアプリケーション開発者を不安にさせる。
d:id:yellow_73:20100225 を読み、スタンダード批判はアプリケーション開発者を不安にさせるという副作用があるなあと痛感しつつも、一方で、アプリケーション開発者を「勤勉」にさせないスタンダードについて考えることも時には必要だ(または、そういうことを考えることを立ち位置にする人も少数は必要だ)と思いました。
「なんだかなー」と思わせるスタンダードを裸の王様にしておくわけにはいかない
私を含む、アプリケーション開発者としては「自分のアプリケーションの開発ができるかどうか」が問題のすべてです。
http://d.hatena.ne.jp/yellow_73/20100225#p1
WMSがなんだかなーと思いながらも、ライブラリとかでなんとかしてしまったので、「わざわざ乗り換えることもない」と思っている、ってことになりません?
アプリケーション開発の場面場面では、そのときに採用できる技術の中で、最も低コストで目的を実現できる技術を採用されているものと思います。「WMSがなんだかなーと思いながらも、ライブラリとかでなんとかする」というのは、至当な判断だと思います。
一方で、「なんとかする」という状況を、これからも続けていくのか考える「怠惰さ」(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20061005/250057/)を持ち合わせる人が少数でも必要ではないかなと思います。さもなければ、世の中の多くのアプリケーション開発者が「なんだかなーと思いながらも」勤勉に同じ苦労を繰り返さなければなりません。
そもそも、スタンダードとは、「アプリケーション開発者が勤勉に同じ苦労を繰り返すことを避けること」が目的であり、あるスタンダードがこの基準を満たしているかどうかは、確認すべきことであると思っています。
「王様は裸だ」と言うこと自体は問題の解決にはなっていないのは事実
「WMS捨てたら、すげー良くなった!」と言わせられるのかどうか、そこがポイントでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/yellow_73/20100225#p1
まさにおっしゃるとおりで、代案は出ていない状況です。宗教改革にたとえると、質問状を出しただけの段階です。その後に、異議申し立て側の代案と既成秩序側の改善が出てきて支持を争うのが宗教改革ですが、この段階にいたるに必要な「代案」は出ておらず、そもそも代案が出てくるのかどうかも分かりません。質問状を出したらとてもよい答えが既成秩序側から返ってきたので、改革は起こらなかったという可能性も高いでしょう。
脱線:既存秩序を熟知した人が既存秩序に質問することで、世の中は良くなる
宗教改革アナロジーのついでに言うと、ルターはもともとカトリックの若きホープだったようですね(ウンベルト・エーコの面白い短編を読んだ記憶による。後で確認するかもしれません。)良い質問をするには、質問対象について熟知していることが必要で、逆に、対象を良くするためには、対象について熟知している人が、別の「熟知している人」がそれを読み得る場において、質問をする必要があります。
GeoWebCache への期待
それは遠くない未来に解決されます、かなり高い確率で。
http://d.hatena.ne.jp/yellow_73/20100225#p1
ていうか散々良い意味で裏切られてきてます:-)
ハードウェアの高性能化、低価格化で解決できる話で終わってたら、GeoServer + GeoWebCache から離れる人は多くないんじゃないかなと。
これは、期待すべきだと思いましたので、GeoWebCache などの技術ウォッチを強化しなければと思いました。
一方で、「ハードウェアの高性能化、低価格化で解決できる」というフレーズには、このフレーズが多用される場面のことを考えると、一抹の不安を覚えます :-)
地図画像生成へのキューの導入の話は宿題に
エントリ作成のための私の時間が切れてしまったので、地図画像生成へのキューの導入の話は宿題にさせてください。