Produktübersicht Basis-DLM を読む 5: バイエルン州

このページ を読むシリーズの第5回は,第5行の BY, バイエルン州(Wikipedia)です。ドイツ最大の州で、保守系CSU が圧倒的に強く、ドイツの州の中では際だって一極集中型の州です。都市機能はミュンヘンに集中しており、一方で南部にはアルプスを抱えています。BMWAudi の本社があり、経済も強いようです。
面積は 70,549平方kmで、オーストリア共和国の 83,870平方kmにも近いです。実は、人口ではバイエルンが 1250 万人程度であるのに対し、オーストリア共和国が 830 万人程度であって、バイエルン州オーストリア共和国と同規模の国となっていてもおかしくない地域です。(第一次・第二次大戦後には実際にそうした動きもあったそうです。)
このようなバイエルン州での地形図作成の状況はどうなっているのでしょうか。

捕捉状況

第三段階まで 100% 達成済みです。ただ、段階の定義は州によるので、段階の内容を見てみる必要はあります。

典拠

最初の段階では地形図 1:25,000をソースデータとして使い、次の段階ではディジタルオルソ画像を使っています。
地形図をソースデータとして使った場合、地図編集に起因する変形がデータに加わります。ディジタルオルソ画像で変形を修正したのでしょうか?目的によっては変形を修正する必要はないという判断もあり得ますので、あとで調べてみたいと思っています。

精度

プラスマイナス3から5mとのことです。地形図 1:25,000 をソースデータとして用いた場合には、精度はプラスマイナス 12.5m から 25m 程度になるはずですから、何らかの工夫をして、地形図の精度からの精度向上をしていると考えられます。(ただし、ドイツの地形図は特別に精度が良いということもあるかもしれません。)
いずれにしても、これまで調べた中で精度5mというのはもっとも悪い部類にはいります。これは、山岳地帯を抱えることと、大都市に人口集中しているので郊外地域に手を回すのが難しいことが関係するのではないかと推測しています。これらの条件は、日本にもあてはまる気がします。

時局性

1994年から2005年です。ずいぶん幅広の時局性になっています。ハードルが低いということです。山岳地帯の更新が難しいということと関係あるのでしょうか?

最高度時局性の地物を除く地物の更新周期

5年だそうです。ドイツでは更新周期が5年なのが標準のようです。
ただ、現時点の時局性は 2005 - 1994 = 11 年ですから、これからの更新周期を 5 年にするということであると思います。

データフォーマット

EDBS, DXF, Shafefile とあります。GIAP や SQD はサポートしないようです。

価格

まず、EDBS フォーマットか Shapefile フォーマットの場合の価格が記載されています。

面積(平方km) 平方kmあたり価格(ユーロ)
1 - 5000 7.5
5001 - 25000 2.5
25001 - 50000 1
50001 - 0.5

5万平方km越えの場合の特別価格 0.5 ユーロを持っているのが特徴的だと思います。この価格体系でバイエルン州全体を購入した場合、35274.5 ユーロとなり、1ユーロ160円で換算すると、これは 564 万円となります。
計算方法が間違っていたので、http://d.hatena.ne.jp/hfu/20070926/1190864787 で再計算しました。その結果、バイエルン州全土のデータを購入すると、122800ユーロ(約 1964万円)になることが分かりました。
DXF フォーマットで購入すると、上記価格の半額となる、と書いてあるように読めます。情報がすこし間引かれてしまうのかもしれません。
なお、最小支払額は 40 ユーロということなので、少なくとも 6 平方kmは一括で購入する必要があります。なお、東京都では狛江市が 6.38 平方kmです(http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MENCHO/200704/shikuchouson/tokyo.htm)。

ここまでの各州データセット価格のまとめ


ここまでの各州について、全データを購入した場合の価格をまとめました:

ブランデンブルク州 472万円
ベルリン州 107万円
バーデン=ヴュルテンベルク州 1570万円(?)
バイエルン州 564万円

バーデン=ヴュルテンベルク州の価格が、どうしてもおかしい気がしてきました...。
http://d.hatena.ne.jp/hfu/20070926/1190864787 で再計算しました。

価格計算を間違えている?


よく考えてみれば、価格計算を間違えている気がしてきました。というのは、これまでの「購入する面積により単位面積あたりの価格が決まる」というモデルだと、

  • 5000平方km買ったら 37500 ユーロ
  • 5001平方km買ったら 12502.5 ユーロ

と、価格の逆転が起こってしまうためです。
この価格表は、鉄道などの料金の表のように、累積的に読む必要があると気がつきました。つまり、5001 平方km 買う場合、5000 平方 km までは 7.5 ユーロで買い、5001 平方km めだけ 2.5 ユーロで買えるというものです。つまり、5001 平方km の価格は、37502.5 ユーロというものです。
この計算法でバーデン=ヴュルテンベルク州について考え直してみましょう。

州全土よりわずかに狭い 35,751 平方kmを購入すると 35,751 ユーロで済むのに対し,州全土を購入すると 98,000 ユーロと3倍弱の値段になってしまう

http://d.hatena.ne.jp/hfu/20070907/1189193697

上記の計算方法で35,751平方kmの価格を計算すると:

5000 * 7.5 + 20000 * 2.5 + 15751 * 1 = 103251

となります。そうすると、全土購入で 98000 ユーロという価格設定が、5250 ユーロ程度の割引になって自然になります。
再計算だけで結構な内容になりそうなので、再計算は別エントリで。

http://d.hatena.ne.jp/hfu/20070926/1190864787 で再計算しました。

ChangeLog

2007-09-26: 価格再計算の結果を反映しました。