今、 Web 絡みの地理情報技術者に必要だと私が思っている技術

hfu2007-12-14

WMSRDBMS の空間データ拡張に注がれている地理情報技術者の注意資源を、もう少し

  • ジオメトリエンジンを使いこなすこと
  • 信頼できる永続化手段をテキストファイルのように使えるようにすること
  • いますぐに使えるデータでいろいろなデータハンドルを試すこと

に回せたらといいな、と思っています。

svm-map.com からリンクをいただきました。

d:id:hfu:20071213 の「リンク元」に、あの http://blog.svg-map.com/ が出てきましたので調べてみますと、http://blog.svg-map.com/2007/12/ogc_wms_2b08.htmlというエントリで、d:id:hfu:20070822 へのリンクが張られていたのがわかりました。
私のエントリは、OGC WMS の問題点を指摘するための資料として使われていました。大変光栄なことだと思いました。
また、d:id:hfu:20070822 のころの自分のエントリの文体に恥ずかしさを覚えると同時に、ブログは、継続することで明らかに技術力・文章力・論理力を鍛えてくれるものだと感じました。
OGC WMS の問題点」は、本来は自明なものであり、これまで語られてこなかったにすぎないので、私のエントリは「裸の王様」の子供の指摘のようなものであり、エントリの内容自身は、恥ずかしくなるほど軽薄なものです。

私の現在の問題意識

OGC WMS の問題点」は、そのうち常識となり、WMS電子国土, Google Maps, Google Earth, ka-Map, OpenLayers など(つまり、一般ユーザに提供されている地図サービス)が提供している「タイルマッピングサービス」の層の後ろに回ることになるのでしょう*1。また、受け渡されるデータは、必要な所では、画像データからだんだんベクトルデータ(SVG なり WFS でいう GML なり)にもなっていくと思います。
しかし、私の中では、この流れはもはや既定の路線であるように思えてきました。Web 指向の地理情報技術者にとっては、この流れの他に、もう少し大事な技術範囲があるように思っています。それは、

  • ジオメトリエンジンを使いこなすこと
  • 信頼できる永続化手段をテキストファイルのように使えるようにすること
  • いますぐに使えるデータでいろいろなデータハンドルを試すこと

だと思います。

アナロジー

Web の技術状況を幕末にたとえる方法*2にあやかって言うと、「OGC WMS だけではだめでタイルマップサービスが必要だ」という論点は、「これからは射程の大きな砲が必要だ。」と言っている程度の論点であると思います。正しいのですが、それがすべてではなく、最終目標でもないのです。この論点だけで行くと、独自技術で太極砲のようなものを作ってしまったり、台場のような、あまり役に立たない固定砲台を作ってしまう場合もあると思います。本当に必要なのは、砲という表現周りの一技術ではなくて、黒船という総合技術の運用法なのです。
蒸気機関の習熟(ジオメトリエンジンを使いこなすこと)、信頼できる船体とそこでの要員運用の最適化(信頼できる永続化手段をテキストファイルのように使えるようにすること)、操船技術の向上(いますぐに使えるデータでいろいろなデータハンドルを試すこと)が、砲術(地図サービス)を行使する前提として必要だ、というアナロジーです。
アナロジーついでに、リレーショナルデータベースの空間拡張は、このアナロジーでは「食物の船内での長期高効率貯蔵術」に相当するかもしれません。必要不可欠な知識なのですが、個々の具体的なオペレーション*3では、使う必要がない場合もあるかもしれません。
このような問題意識のもとに、本ブログでは最近 geotools.rb まわりのことばかりやっています。蒸気機関や要員運用に関する知見がほとんど Web 上にないためです。しかし、そのうちまた砲術のほうでもエントリを立てたいと思っています。

*1:もちろん、アクセス数が少ないデータやセキュリティ・インタラクティビティが大事なデータは、直接 WMS 的インタフェースで提供されるのでしょう。

*2:現住所では本が購入できないのでまだリンク先の本は読んでいません。なので、リンク先が不適切かもしれません、すみません。

*3:運用、なのですが、ここはカタカナにしたほうが分かりやすいように思いました。ペリーの沖縄オペレーションとか、そんな感じです。