タイル化していない地図サービス事例

hfu2007-12-18

タイル化をしていない地図サービスを2つ紹介します。基盤的な地図をサービスする場合に、WMS インタフェースをユーザに対して直接晒すことは、どうしても性能上のボトルネックになります。

d:id:hfu:20071214 で、以下のようなことを書きました。

WMS電子国土, Google Maps, Google Earth, ka-Map, OpenLayers など(つまり、一般ユーザに提供されている地図サービス)が提供している「タイルマッピングサービス」の層の後ろに回ることになるのでしょう

2007-12-14 - Relevant, Timely, and Accurate

しかし、地図データをタイル化してスムーズに動くようにしていないサービスは、一般の方にはほとんど認知されていないのではないかと思いましたので、「スムーズでないサービス」のほうを2つ紹介しようと思います。

ドイツ連邦地理情報センター GeoPortal.Bund Basisviewer

ここから Basisviewer というビューアを立ち上げることができ、ドイツの地図を閲覧することができます。
地図画像はユーザの入力ごとに生成されますので、ユーザ数と各ユーザの入力数を掛け合わせた数の画像生成リクエストが発生することになります。
Firebug で通信を見ると、この画像生成は、このサービスにおいては WMS インタフェースを介して行われていることが分かります。basicviewer_tunnelimage.jsp に対して、BBOX, LAYERS, STYLES (+ layerset_index) というパラメータで HTTP GET しているところが、WMS に従っているところです。

米国政府系サービス Geospatial One-Stop

ちょっとさすがにやり過ぎではないか、という URL で、実はセッション ID などを含んでいるのではないかと心配になりますが、このリンクをたどると、8つほどの「Map Viewer」を立ち上げることができます。
Map Viewer を立ち上げると、"LOADING..." 表示がユーザ操作ごとに表示されると思います。
Firebug で通信の様子を見てみると、WMS の URL が直接出てくることはなく、地図画像は、arcexplorer_{識別数値列}.jpg といったファイル名でクライアント側に送られていることが分かります。これらの画像は、ユーザ一人一人の指定にあわせてきっちりと切り取られた画像です。
この画像の生成は、ユーザごと・ユーザの指示ごとに行われることになります。
(Map Viewer が送ってくるデータの URL のすべてに、arcexplorer という商標が含まれているところは、米英系以外の政府機関には真似しずらいところかもしれません。)

すべての規格はボトルネックかもしれないけれども

規格というものはすべて、性能上のボトルネックであるのかもしれません。しかし、WMS を直接 Web クライアントに対して提供することによって発生する性能上のボトルネックは、上記の2例と市中の「ふつうの」地図サービスとを比べることにより、致命的なものと判断できるのではないでしょうか。